特定非営利活動法人札幌天神山遊学会 

設 立 趣 意 書

 

1 趣旨

 

初めてのパソコンが発売されてから35年ほどが経ちました。パソコンは個人の知的生産活 動を高め、インターネットとつながることで情報化社会を実現しました。クラウド技術の 発達と低コスト化、スマートフォンに代表される携帯機器の急速な普及、コンピュータの 処理能力の向上や記憶容量の拡大、無線通信の帯域が拡大してリアルタイムで大容量の双 方向通信が可能になり、IoT、ビックデータ、 AI(人工知能)などによって、地球規模で 起こったデジタル革命はさらに進化し、加速しようとしております。

 

インターネットによって私たちは空間、時間、職種、年齢性別、組織、国などの障壁を超 えて簡単に効率よくコミュニケーションができるようになりました。しかしその一方で は、 地域社会の低迷 、孤独死、鬱病の増加、若者の自殺の増加、 基礎学力の低下、貧富 の増大など新しい形のコミュニケーション、コミュニティの問題が生じていることも事実 です。

 

このような混迷や不安を克服するには、「人間の心をどのようにコントロールしてゆく か」が課題になります。

今の社会では、便利や効率ばかりが求められがちです。こんな時代を生きている日本人に とって、紀元前300年頃を中心とする中国の戦国時代中期に活躍した「荘子」の作者で 思想家の荘子(荘周)の哲学が、生真面目な固定概念を解きほぐし、心の自由とは何かを 気づかせてくれます。「荘子」が説く思想の中で、現在社会が特に忘れられているのが、 「遊」だと想います。今では子供ですら、友達と遊ぶ時に事前のアポを取ると言います。 仕事でも家族のスケジュールでも、誰もが計画を立てすぎております。

 

「不測に立ちて無有に遊ぶ」の心持ちが大切だと思います。「無有に遊ぶ」の意味は、未 来はここにないのですから、「ないという今を遊ぶ」ということです。「人間の心をどの ようにコントロールしてゆくか」ということは、「遊心」つまり心を遊ばせるということ です。

 

この言葉を最初に使ったのは「荘子」の哲学です。遊ばせるというには、いまの日本語の 遊ぶという意味ではなく、「心をとらわれることなくどんな状況でも自分の主体性をしっ かり持って行動していく」という意味です。

物理学者の間でも、デジタル文化と対極をなす東洋思想、その中でも中国の「老荘思想」 における「荘子」の哲学が時代的パラダイムの骨格をなしていくと期待されております。 また、ノーベル賞を受賞した物理学者の湯川秀樹博士やアインシュタイン博士は、「荘子」の「遊」の哲学に見られるような一カ所に留まらない自由な生き方、無限大を分母に して人類なり個人の生き方、死に方を考えていく荘子と同様の人生哲学を持っていたそう です。

 

本法人の活動の中心は、札幌市豊平区平岸にある天神山です。この山は標高85mで、コナ ラなどの自然林に覆われて、札幌市街や遠くは石狩まで眺望できます。天神山頂上にある 相馬神社には樹齢300年を超えるクリの御神木があります。丘陵の西端には、約5千年前 の縄文文化中期頃の遺跡があり、また、「チャシ」(とりで)跡などもあります。平岸天 満宮も隣接しております。

天神山緑地内にあるさっぽろ天神山アートスタジオは、札幌市の中期滞在宿泊施設「旧札 幌天神山国際ハウス」を修繕し、国際的なアーティスト・イン・レジデンス事業のできる 文化芸術施設に用途を変更、2014年夏、札幌国際芸術祭2014の開催に伴い再開した文化 芸術施設です。市内、国内外のアーティストや文化芸術に関する研究者などが滞在しなが ら制作や調査・研究を行うための滞在スタジオが13室あり、市民の活動のための交流ス タジオが3室併設されてます。さらに、施設1Fのロビー空間は緑地公園の無料休憩所等と して常時開放されております。

 

本法人の事業は、さっぽろ天神山アートスタジオの施設を有効に活用して、子供たちを中 心にした「荘子」の哲学、芸術文化、環境保全、国際交流及び デジタル文化のイベント 等、セミナー・講演会及び体験学習(ワークショップ)を行います。また、天神山緑地等を 利用した環境保全の体験学習を行います。また、さっぽろ天神山アートスタジオのイベン ト等、相馬神社や平岸天満宮のお祭り等と連動した文化芸術イベント等の企画・運営を行 います。

 

自在の境地「遊」と「和」を目指すことを説く東洋哲学の生活哲学に遊び学び、札幌天神 山に集う人の縁を大切にして、その縁の輪を世界に広げ、心の自由と「和」のある地域社 会の発展と、「自然」を愛し、「心をとらわれることなくどんな状況でも自分の主体性を しっかり持って行動していく」人づくりに貢献することを目的とします。

 

上記のような公益な事業目的を実施するためには、任意団体や会社では、他の公益的団体 等との協業、連動が難しく、NPO法人設立が最適であり、 本法人の永続的活動や事業が できると判断しました。

 

2 申請に至るまでの経緯

 

平成26年6月1日  さっぽろ天神山アートスタジオに於けるボランティア活動開始

平成28年5月1日  特定非営利活動法人札幌天神山遊学会設立準備委員会 設立

平成28年8月11日  さっぽろ天神山アートスタジオのイベントに連動した音楽企画実施  

平成28年9月5日  相馬神社のお祭りに連動した音楽企画実施

平成28年10月11日 さっぽろ天神山アートスタジオのイベントに連動した音楽企画実施

平成29年4月20日  札幌天神山遊学会 Art&Flower 事業

平成29年4月23日  札幌天神山遊学会 農園事業 クラーク農園活動

平成29年6月18日 特定非営利活動法人札幌天神山遊学会 法人設立総会 

 

 平成29年6月吉日

 

特定非営利活動法人札幌天神山遊学会

理事長 梅津 有宏